Dream Japan



Vol.31


"World Cup 2018 Russia to Tokyo 2020!"

- 2018W杯ロシアより東京2020へ!


(2018/08/05)


◆"World Cup 2018 Russia to Tokyo 2020 !":

約32日間に渡って世界を熱狂させたロシア・ワールドカップは7月15日の決勝でフランスとクロアチアが対戦し、フランスが4-2でクロアチアを下し、20年ぶりの優勝を成し遂げた。フランスの19歳、キリアン・エムバペがペレ以来の10代での決勝戦でのゴールを決め、グリーズマン、ポグバらが加点し、ペリシッチ、マンジュキッチの不屈のゴールで追い上げるクロアチアを振り切って4−2の勝利を収めた。


フルメンバーでメンバーを落とさずに臨んだ試合は90分で全て決着し、全勝で勝ち上がったフランスと、3度に渡るデンマーク、イングランド、ロシアとの延長戦を制してきてきたクロアチアによる決勝戦は、開始10分程度はクロアチアのペースであった。

クロアチアのパスが繋がり、何度も危険なゴールを脅かす様な戦いが出来ていた。しかし、先制したのはフランスだった。グリーズマンがフリーキックを蹴り、マンジュキッチのヘッドに当たり、オウンゴールとなった。その後、クロアチアはペリシッチのゴールで追いつくも、そのペリシッチのハンドとなったPKをグリーズマンが冷静に決め、2−1で前半を終えた。

後半はまたもやクロアチアペースと思われたが、フランスのデシャン監督はクロアチアのエース司令塔、モドリッチにマンマークに付いていたカンテを下げ、エンゾンジを入れた。同じボランチであるが、対人に強く俊敏なカンテが胃腸炎もあり、彼を下げて、196cmと上背があり、フィジカルの強いエンゾンジを投入して万全を期した。

カンテのマークが外れたことで、モドリッチがフリーになるケースが増え、変化をつけるパスを出せる様になった。この交代の当初の意図がよくわからなかったが、イエローカードをカンテがもらっていたのは確かだが、モドリッチをフリーにするリスクもあり、諸刃の剣にも思えたが、相手が前掛かりになり、最終ラインと中盤との間がより広く開く様になったのと、何より最も脅威だったペリシッチの縦への突破がフィジカルの強いエンゾンジ投入で徐々に減ってきた。

その変化をポグバがうまくつき、エムバペに縦に速いパスを出しつつ、エムバペからの折り返しをグリーズマンが前線に駆け上がったポグバにパス、ポグバは最初は右足で蹴ったが、DFにブロックされたため、その後、左足で蹴り、見事にゴールマウスにシュートを決めた。

この時点で3−1で、フランスは勝利をぐっと手繰り寄せた。前回ブラジルW杯で最優秀ヤングプレイヤーに輝いたポグバだったが、優勝に手が届かず、ユーロ2016でも、準優勝。何としてでも得たい国際大会のタイトルを手中にする可能性を自ら高める決定的なゴールであった。

その後、さらに、今大会の最優秀ヤングプレーヤーとなったエムバペがCBヴィダとGKスパシッチの逆をつくミドルシュートで加点し、4−1とした。クロアチアも意地を見せてマンジュキッチがウンティティのバックパスを必死の追い込みでGKロリスのミスを誘い、4−2とした。しかし、その後はフランスがしっかり守りきって、1998年自国開催のW杯以来の勝利を収めた。

フランスは2006年にも決勝に進出していたがジダンの華麗なパネンカで先制したもののイタリアのマテラッツィに同点とされ、延長でジダンがマテラッツィの暴言に過敏に反応して頭突きで一発レッドとなって、PKで破れていた。退場にならなければ、ジダンがバロンドールだったであろう。

2016年の自国開催のユーロでも決勝でクリスチャーノ・ロナウド負傷退場のポルトガルを攻めあぐねて敗れていただけに、2000年のユーロ優勝を最後に、21世紀には優勝から遠ざかっていた。タレント軍団と言われながら、21世紀では初の優勝、W杯は通算2度目の戴冠となったのである。

デシャン監督は、ブラジルのザガロ、ドイツのベッケンバウアーと並び、選手と監督でのW杯優勝を成し遂げた3人目のレジェンドとなった!


■2018W杯決勝戦_得点:フランス4−2クロアチア

フランス:オウンゴール(18分:グリーズマンCKからマンジュキッチ)、グリーズマン(38分)、ポグバ(59分)、エムバペ(65分)

クロアチア:ペリシッチ(28分)、マンジュキッチ(69分)


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"◆"State-of-the-Art Point:"

攻守にバランスがとれ、多様な戦術をみせた王者フランスと、日本を破った黄金世代の最も美しいサッカーをしたベルギー、そして”形”を見せた今後の日本の戦いの行方はどうなって行くのか?

この熱狂の後に、大会のレビューと総括を経て、またサッカーは新たな方向に進化して行くべきであろう。

ロシアW杯は近年の中でも有数の面白い大会であったのは確かだ。

日本がベスト16に到達したことは過去にもあったが、初めてといっていいほど、自分たちのスタイルを世界に披露して躍動したこともその要因でもあるが、世界のサッカーを観ても、4年前の王者が研究され、グループリーグ突破を出来ないという点では、世代交代と戦術の進化を鈍らせたドイツの不調もさることながら、サッカーが日々生きていて、進化していることを示しているであろう。

古くはイタリア、フランス、スペインら前回王者がグルプリーグ敗退に追い込まれたケースは幾度かあった。

W杯の序盤を盛り上げたのは僅か2ヶ月の準備期間で日本の将来を示すサッカースタイルを見せることに成功し、10人とはいえコロンビアから大金星を挙げた西野ジャパンや、開幕戦でサウジから5得点の地元ロシア、アルゼンチンに1−1で引き分けた堅守のアイスランド、スペイン戦でハットトリックを決めたクリスチャーノ・ロナウドのポルトガル、前回王者ドイツを破る番狂わせを起こした俊英ロサが1−0のゴールを決めたメキシコなどであった。

グループリーグでは、ドイツがメキシコ同様、韓国に0−2で敗れる波乱、近年さほど活躍を見せていなかったが若返りに成功したイングランド、大会出場をかけた予選でオランダ、イタリアの強豪を破った屈強なスウェーデンが本戦でも躍進するなどが見られた。

日本も16強以上という出るからには超えたいノルマを超えたが、表現したサッカーの質は、これまでの大会でベストではあったが、ポーランド戦では、物議も醸した。

ネイマールは三冠を獲得したPSGに属していたが、戦力的にも優勝が固い状況でもあったため、終盤の試合には出ずに、このW杯に体調を万全にすべく、数ヶ月間を過ごした。 ブラジルのアイディア、テクニックはやはり世界随一だが、守備の要、カゼミーロのベルギー戦での出場停止、また、黄金世代のベルギーは常に得点力のある魅力的なサッカーを見せながらもはや名将にもなり得る45歳のロベルト・マルチネス監督がブラジルをよく研究し、ネイマール、マルセロのいる左サイド偏重の攻撃を見事に読み切り、守備を固め、ダニエル・アウベスと言う右サイドのスペシャリストの故障離脱のブラジルを左サイド偏重のまま封じこめる事に成功して、痛手を負わせた。ベルギーの勝利には、かつてのフランスの英雄、ティエリ・アンリのコーチ就任も自信を持たせる点では、大きかった。

ブラジル戦でのデフライネのカウンターからのゴール、また日本戦でのロスタイムのルカクがスルーしてシャドリが決めたゴール、イングランドから勝利したムニエの飛び出しからのゴールと、アザールのドリブルからの見事なゴールら、多彩なカウンターや、個人技での突破からベルギーは躍動した。フランスには1−0から守備ブロックを固められ、それを突破できずにベスト4で敗退したが、3位決定戦でイングランドを破り、大会を通じて最も魅力的なフットボールを表現していたと言っても過言ではない。

元々目指していたのは主軸のアザールが青年時代にジダンのいた代表のユニフォームを着ていたというように、フランスの育成モデルだった。その兄貴分のフランスに敗れ、守備的な戦術批判もしてはいたが、2−0からベルギーに敗れた日本からしたら、守りきれるフランスの守備力は羨ましい限りだったし、かつてのイタリア、ドイツらにもそれがあった。

また準優勝のクロアチアは、モドリッチ、ラキティッチというレアルマドリーと、バルセロナの中盤の要を並べ、ペリシッチの飛び出し、マンジュキッチのセンターFWとしての働きと、ロブレンやヴィダ、チョルルカら長身で屈強なDF陣で、メンタルタフネスを見せつける、最もタフなチームだったとも言えよう。


そして日本は、大会前のハリルホジッチの解任騒動で揺れたが堅守速攻、縦一本のカウンターサッカーを標榜するハリルのサッカーがトップダウンで封建的でコミュニケーションが悪化するとベテラン選手たちとのヒアリングでも確認するや否や、技術委員長の西野朗に監督を交代した。Jリーグ通算270勝は歴代一位、G大阪でJ1チャンピオン1度、クラブW杯ではマンUを4−3と追い詰める乱打戦で実績をあげ、何と言っても1996年のアトランタ五輪では、ブラジルから1−0で勝利をした日本人監督として唯一の公式戦でのブラジル勝利の”マイアミの奇跡”の実績のある監督だ。

その西野監督によって、”サランスクの奇跡"はもたらされた。いや、”持っている”西野監督の幸運も、あいまった。仮にハリルが監督をしていたら、縦に速い堅守速攻はフランスのモデルでもあるが、0−1でベルギーに親善試合で敗れたように、ピッチでの自己表現が出来たか?、は疑問が残る点では、西野監督の起用と結果は一定の評価に値するであろうし、一歩ずつだが、進化の方向に時計の針と歴史を刻んだ。

もっとも大事だと言われる初戦のコロンビア戦、10回戦って7回負けるだろうという下馬評の相手に、日本は勝った!

序盤にいきなり相手のハンドでPK獲得、11vs10人の戦いが出来たことが大きいが、この幸運も、テストマッチでガーナ、スイスに惨敗後、パラグアイ戦で香川と乾の元セレッソ・コンビが機能すると見るや否や、その二人を軸にしたチーム編成と、ハリルのサッカーを掛け合わせたことで、西野監督は活路を見出した。

西野監督になって「攻撃的なサッカーをする」という大きな目標が出来たことは、練習試合とはいえW杯開幕前に負けが込んで雰囲気が悪かったチームからしたらカンフル剤にはなった。

ただし、人選では、日本をW杯に導いたオーストラリア戦に活躍した浅野、井手口という二人ら若手有望株が次々と落選した。

西野監督は、ガンバ大阪時代にライバルだったセレッソ大阪のエースサイドアタッカー乾を評価し、また、自身が10代の若かりし頃から長年、面倒を見た宇佐美を選んだ。

いずれも”天才”と言われた選手たちではあるが、そこは趣向が明確に出て、同等の実力なら、若い選手を選ぶハリルとは人選が違い、「おっさんJAPAN」、「忖度JAPAN」などとも揶揄された中で、コロンビア戦で勝利を収めたことは、流れを大きく変えた!

前回ブラジル大会で1−4の大敗をした際に大活躍したコロンビアの司令塔ハメス・ロドリゲスの故障、10人という幸運はあったが、香川が冷静にゴールを決め、またキンテロの地面を這うFKで同点とされた後も途中出場の本田のCKから大迫がヘッドを決めて、2−1で勝利出来たことは大きかった。

コロンビアのペケルマン監督も、故障で運動量が少ないハメスを入れたり、右サイドの突破力のあるクアドラドという日本の脅威を10人になったがために早々下げるなど、日本からしたら、ありがたい戦術もあった。彼らが好調なら、日本にとって、それほど嫌なことはなかったからだ。

この一勝が大きくきいて、日本は予選突破が現実的になった。

次のセネガル戦。GK川島のパンチングをマネに押し込まれるという失敗があったが、この大会は、GK受難でもあった。

アルゼンチン、ウルグアイ、決勝のフランス、もっと言えば、W杯の前のCLでのリバプールGKなど、GKのミスでの失点もあったが、ボールの質の向上により変化をつけられるようになったこと、”ブレ球”など、多様なキックパターンの隆盛など、GK受難の時代でもあるが、日本も世界的なGKの育成は今後、世界のGKのトップクラスをコーチとして招聘するなどして最も強化しなくてはならない分野であろう。

上背云々だけでなく、メキシコはカンポス、今大会のオチョアなど、名GKを排出しているし、ポーランドも伝統的にそうであるし、近年、足元の技術の高いGKでは、ドイツのノイアー、フランスのバルテズなどがかつていたが、日本にはそういったいわゆる”スーパーGK”が不在だ。今大会に出場したシュマイケルJr.も親子共々、素晴らしいGKだったし、ロシアがアーキンエフのスーパーセーブで、スペインに勝利したように、PKでの決着も多いことからも、GKのワールドクラスへの育成は日本が最も遅れていて、最も強化すべき課題だろう!

セネガル戦も、2−2の同点に持ち込んだことは日本の進化とも言われたが、決定機があったこと、また、守備で課題があったことからは、勝てた試合でもあった。

3戦目のポーランド戦で物議をかもしたいわゆる「鳥カゴ」戦術は、引き分けに持ち込むなら、よくある話だが、負けている状況でかつ、同時並行していたコロンビアvsセネガルでセネガルが点を取れば敗退してしまう、という状況下で0−1で”負けている”日本がその戦術を採用したことは賛否両論があった。

理想は当然、1−1や、2−1に勝ち越す戦術をとることだが、百戦錬磨の日本の知将、西野監督はそれを選択しなかった。結果的には予選を突破したが、いくつかのポイントもあった。

1つは、「日本は弱い」という前提があったことだ。このメンバーで1−1、2−1にするのは困難、ならば0−1のまま試合を終わらせるのが最も予選突破の確率が高い、という判断だ。

2つ目は、「おっさんJAPAN」の人選により、3戦目は6人の主力を温存して、次のベスト16に備えて休息を与えたことだ。運動量的にフル稼働ができない「おっさんJAPAN」の人選をした時点で、ローテーション、休息は必要なプランとなった。

3つ目は、次のベスト16にピークを持っていき、未踏のベスト8を目指すことと、使っていない選手から機能しそうな選手を試す必要があった点だ。これは西野監督が急造でチームを作ったがために、多くのバリエーション、コンビネーションでどれが機能するか?を試せなかったため、本番の舞台で、試さざるを得なかったという準備期間不足もあった。


上記を鑑みると、ポーランド戦のメンバー的に弱いかも知れず、年齢層が高いおじさんが多く休みが必要で、ベスト8を意識したことと、準備期間不足、など西野監督の確証を得る時間的、戦術的余裕がなかったことも「鳥カゴ」という戦術の判断材料になったと考えれば、理想論はあるが、止むを得なかったのがリアリストとしての見解だ。

ただし、敢えて理想主義を掲げれば、ポーランド戦に本田は出場させてもよかったし、カウンター戦術なら、選ばれなかったが、足の速い浅野も入れてもよかったし、GKは中村を試してもよかっただろうし、岡崎に決定的なチャンスがあったが、武藤は2トップとして岡崎とコンビをあまり組んでおらず、パスを選択せず、ストライカーとしてドリブル、シュートを選択していたが、本田や香川なら、よりゴールを決められるポジショニングをしていた岡崎に”パス”=アシストを選択したであろう。

ポーランドに勝っていれば、フランス、ブラジル、ベルギー、アルゼンチンらのいない、比較的楽だと言われたトーナメント側に「予選一位突破」で進めただろうし、相手がイングランドではあるが、史上最強の黄金世代のベルギーよりマシだったかも知れない。

その点は結果論もあるが、予選2位突破でなく、1位突破でフランス、ブラジルら回避も見据えてもよかったであろう。

そして、最後のベルギー戦、柴崎の見事なスルーと原口のキックフェイントからのゴール、香川の壁になる動きと乾の死角を利用したゴールで2−0のリードという奇跡を起こしたが、結果は2−3で破れた。

「本気になったベルギーに負けた」という西野監督の言葉も事実だが、シビアには、2−0になった時点で違う戦術、具体的には、メンバー交代の妙があったら、どうなっていただろうという点だ。

フェルトンゲンのふわりと浮いたヘッド、フェライニの長谷部を吹き飛ばしたヘッド、そして最後の高速9.3秒台のカウンターでのルカクのスルー、など失点はいずれも課題があるものだったが、失点の要因となった選手には、厳しい言葉もあった。

守備は全員でやるものだから個人だけの責任では決してないが、まずはGK川島の反応、フィジカルの強い相手のヘッドへの対応、世界の知将、カペッロ監督らが指摘したように、本田がCKを残り数秒で、GKに簡単に取られるキックをしてカウンターの要因になり、また山口も戻っていたにも関わらず必死に体を張らなかったことなど・・・容赦ない批判があったが、失点とは、そういったものである。

まずはフランスのヴァラン、エンゾンジや、ポグバら、またベルギーのルカク、フェライニ、コンパニらを見ると、190cm近い大柄でかつ、身体能力が高い選手が主要国にはおり、日本人はサッカーで世界一を獲る資質として向いてないのでは?とすら、思わせてしまうし、日本の「セットプレーでの高さ不足」、「守備の仕方」は課題のままだが、その中で、活路を見出しているメキシコのような日本と同様に小柄な選手の多い国、また主に「セットプレー対策」でベスト4に勝ち上がったイングランドらと同様、世界を見据えながらも日本の特徴あるサッカーが今後の課題では、あろう。

新監督に森保監督が就任した。いわゆる”ドーハ組”、初の監督だ!悲喜こもごも熟知しているし、サンフレッチェ広島で優勝の実績を作り、選手時代もボランチという目立たないが攻守の双方を最も良く知る人物だ。

西野監督が日本を盛り上げ、攻撃的なサッカーを標榜して、W杯という舞台でも、決してひるむことのないマインドセットを見出してくれたが、クラブW杯でガンバがマンUに3−4と善戦して負けたように、またマイアミで2勝しながらトーナメント突破できなかったように、最後は攻撃的な美学の中で、散っていった・・・。

フォワード、攻撃的MF出身の西野監督から、優勝したフランスのデシャン監督と同様の”ボランチ”、”攻守の要”出身の監督が就任したことで、2−0でベルギーに勝っているようなシチュエーションで、どのような戦術的選択、選手交代をしていたのか?という興味と、期待もあるであろう。

ベンゲルやクリンスマンという噂された海外の著名な監督も興味深かったが、世界のサッカーを知るだけに、Jリーグをずっとみる仕事への情熱と、攻撃と守備のバランスと日本人の特徴を短期間で理解できるか?は監督になったとしても不安要素だっただけに、ある意味、任せたらどうなるか?楽しみな監督に、世代が一つ下だが、任せてみようという機運は、吸い上げられて然るべきものでは、あったであろう!

期待も不安もあるし、西野JAPANのような攻撃的な戦術はとらないかも知れないが、出場できなかった悔しさを知る若手、浅野、久保、堂安、中島らも含めたハングリーさと、GK育成プランや世界的な守備戦術のバランスを双方掛け合わせた、進化した日本代表に、期待もしたいものだ!

何より、デシャンもベッケンバウアーも、守備をよく知る監督だったし、デシャンの戦術はタレント軍団でありながら個人技に頼らずグリーズマンやジルーにも前線で守備をさせてシャンパーン・サッカーという派手で伝統のあったスタイルには依存せず、時にはポグバ、カンテを軸とした中盤の底にマトゥイディ、エンゾンジさえも重厚に並べるリアリスティックで、多様な戦術で”世界一”になったフランスのフットボール、ユベントスにもいただけに古くはカルチョ伝統のカテナチオなども参考にし、ポゼッションもリアクションもできるフランスの柔軟な超越したスタイルを確立した。ジーコ、ザッケローニとポゼッション型の攻撃サッカーを目指した中で、結果を残したのはトルシエ、岡田のディフェンス重視のリアクション型の日本サッカーでしかなかった歴史の中で、今回、攻撃の"形"を見出せたのだから、次も一つずつ、新しいスタイルを加えながら、日本も進化できると期待したいものである。

デシャンはオリンピック・マルセイユ、ユベントスで欧州制覇、フランス代表でW杯、EURO制覇、晩年はイングランド・プレミアでチェルシー、スペイン・リーガでバレンシアでキャリアを積み、監督としてはエブラ、ジュリー、ノンダ、アデバヨールらを育成したASモナコで圧倒的な戦力差のあるレアルマドリーらを撃破してファイナリストになり、古豪オリンピック・マルセイユを仏王者にし、ユベントスを復活のセリエA昇格させ、EURO2016で準優勝、そしてようやく、長いストーリーを経て、監督としても世界一に輝いた。森保監督の、そして日本代表のストーリーも、かくありたいものだ。


そして最後に、今回の2018大会の後のバロンドール(世界最優秀選手)には、エムバペを推したい。まだ早いというかも知れないが、10代での決勝ゴールはあの、ペレ以来であるし、何より、”ベスト・インパクト”-最も衝撃的であったし、ユーロで準優勝した時はベンゼマ不在を悔やまれた中で、グリーズマンの攻守の起点と、ジダンを意識した役割も素晴らしいが、ユーロの上積みが即ち=エムバペの存在で、”W杯優勝”をフランスは手にしたのだから。

前回のW杯優勝から、20年、何度もタレント力と、身体能力では、フランスは優勝候補、と言われ続けてきた。ジダンの頭突きもなければ、優勝はあったかも知れない。そういったトラウマを払拭して世界一の称号をフランスが手にした要素は何だったのか?デシャン監督の抜擢という英断もあるが、ピッチでそれを表現したのが、エムバペだったのである。

おそらくクリロナか、モドリッチが有力だが、W杯とチャンピオンズ・リーグの双方を制したのは彼らではなく、フランスのDF、ヴァランだけであるし、以前にイタリアのカンナバロがバロンドールをとったのは、W杯優勝を評価されたのであるから、それを考えると、W杯の一番の原動力が誰だったかと、最もインパクトがあったのは誰か?を考え、エムバペだという結論に至った。

アルゼンチン戦でのメッシの面前での2ゴール、準決勝での意表をつく決定的なヒール・パス、そして決勝でクロアチアを意気消沈させたミドルシュート・・・どれも才能を認めざるを得ないパフォーマンスだった。

時期尚早?そういった考えの人は、クリロナや、メッシの台頭時も否定し、プロ野球の大谷の二刀流も否定した大人たちであろうが、ブラジルが優勝していたらネイマールがバロンドールにふさわしいだろうし、W杯には、それだけの価値と、最高の面白さがある...。

そして、次は”東京五輪”- エムバペや、アザール、ネイマールらが出るのか?そして日本は浅野や久保らが出るのか?何れにしても、このW杯の最高の熱狂と興奮に引けをとらない最高の熱戦を期待したいところだ!


・FIFA 2018 RUSSIA



・フランスvsクロアチア、スタメン




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